電磁波動問題における周期高速多重極法
Periodic fast multipole method for electromagnetic scattering problems

概要

周期領域における電磁波動散乱問題を高精度・高速に解析できる周期高速多重極法について発表を行う。
この数値解法では電場、磁場が満たす境界積分方程式を離散化し、得られる線型方程式を反復解法で解く
ことで解を求める。そのため考える散乱体の境界上でのみ離散化すればよいので、複雑な形状を持つ散乱
体に対しても高精度に解を求めることができる。また積分方程式の満たす性質を利用することで効率的な
前処理行列を構成できるため、反復解法の反復回数を削減することができる。さらに各反復にかかる計算
は周期高速多重極法によって高速化されるため、全体の計算量は非常に小さいものとなる。

産業界への展開例・適用分野

周期電磁波動散乱問題は特に光学の分野で注目を浴びており、周期光学材料はフォトニック結晶やメタマ
テリアルなどと呼ばれ、特定の周波数のみを通過または遮断させたり、光を局在させるなど特徴的な性質
を示すことが知られている。これらの性質を利用し、様々なフィルタやアンテナ、スーパーレンズやいわ
ゆるクローキング技術への応用が期待され、盛んに研究が行われている。

研究者

氏名 専攻 研究室 役職/学年
新納 和樹 複雑系科学専攻 計算力学分野 特定研究員

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