周期外力下の帯電微粒子の数値解析
Numerical analysis of charged fine particles under external periodic force
概要
水平面においた円環状の導線に交流電流を流すと時間的に振動する磁場ができる。この磁場の中に帯電させた微
粒子を投入し、その運動を観察する。導線と平行に極板を置き、微粒子の重力を相殺するように定電場も印加す
る。1個の帯電微粒子は周期的な回転運動や回転方向が不規則に変わる不規則運動を行う。後者は適当な位相変
数で記述すると、カオス位相拡散となる。2、3、4個では、相互間隔を保った運動や、相互間隔が不規則に変
動する運動が生じる。4個の場合、正方形配置は生じず、三角形の頂点とその中心からなる配置となり、少数帯
電微粒子の安定配置には、個数に応じた特定の幾何学的形状が存在するようである。多数の帯電微粒子の場合は
全体が一様に拍動するような運動もあれば、「結晶化」された状態もあり、その一部が「融解」した運動形態も
ある。帯電微粒子の少数自由度運動、および、大自由度運動を数値解析により再現し、少数個数の安定構造の配
置を速い運動を平均化する解析的手法で求めることを試みる。
産業界への展開例・適用分野
微粒子といっても、レーザー光を照射することで目視できる大きさなので、微視的なサイズの粒子ではない。原
子・分子レベルのプラズマの集団運動とは異なり、このサイズの帯電微粒子の運動の研究は少なく、産業への応
用例はまだないのではなかろうか。概要に記した装置をACトラップと呼んでいるが、このような装置の応用例に
ついても考えていきたい。金属微粒子ではなく、毛糸の糸くずのようなものをACトラップに投入すると、丸まっ
たり、伸びたり、ヘリックス・コイル転移を思わせるような奇妙な挙動を観察できる。
研究者
氏名 | 専攻 | 研究室 | 役職/学年 |
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岡田 直樹 | 先端数理科学専攻 | 宮崎研究室 | その他学生 |