中大脳動脈閉塞ラットモデルを用いた心拍変動解析による脳卒中早期検知システムの検証
Feasibility Study of Heart Rate Variability-based Acute Stroke Detection System using Rat Middle Cerebral Artery Occlusion Model
概要
脳卒中は、早期治療開始が救命率向上および後遺障害防止の鍵であり、脳卒中発症をできるだけ早期に検知できる仕組みが望まれる。心拍変動(HRV)は自律神経活動を反映する生体現象であり、脳卒中がHRV に影響するという報告があるため、HRV を監視することで脳卒中発症が検知できると考えられる。HRV に基づいた脳卒中検知アルゴリズムの開発には、実際の患者より脳卒中直後のHRV データを収集する必要があるが、これは容易ではない。そこで本研究では、ラット中大脳動脈閉塞(MCAO)モデルを用いて、人為的に脳梗塞を発生させて、その直後のラットHRV データを収集した。異常検出手法のひとつである多変量統計的プロセス管理(MSPC)を用いて脳卒中検知アルゴリズムを開発した。提案法を実験データに適用した結果、感度、特異度はそれぞれ82% と75% であった。本研究より、HRV を用いた脳卒中検知の可能性が示された。
産業界への展開例・適用分野
脳卒中は本邦の死亡原因の第4位、また寝たきりの原因の第1位を占める重要な疾患であるが、早期に治療開始することで、生存率の大幅な向上および後遺障害の低減につながる。本研究成果が臨床で活用されれば、脳卒中発症から早期に治療を開始できるようになるため、脳卒中による死亡者を減少させ、後遺障害を防ぐことができると期待される。
研究者
氏名 | 専攻 | 研究室 | 役職/学年 |
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藤原 幸一 | システム科学専攻 | ヒューマンシステム論分野 | 助教 |