Adaptive Group Lassoを用いたリズム間の相互作用の推定
Estimating interaction among rhythms using Adaptive Group Lasso
概要
リズム現象を記述する数理モデルは、一般に個別の対象に応じた複雑な多自由度の非線形力学系で記述される。その本質的なダイナミクスは少数自由度で記述でき、位相縮約を用いれば結合位相振動子系という共通の数学的枠組みで記述することが可能である。しかし、このような位相縮約は力学系の本質を保持しながら解析的な取り扱いを容易にする一方、個別の系の詳細を正確にモデル化する必要があり実際は困難な場合が多い。
本発表ではベイズ推定による線形回帰と正則化縮小推定法であるAdaptive Group Lassoの2つの観点から、統計学的なアプローチによる力学系の位相縮約を行い、リズムの相互作用を表す結合関数を推定する手法の提案を行う。
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産業界への展開例・適用分野
自然界、経済現象、社会科学、生命科学を中心に、私たちの身の回りでは様々なタイプのリズム現象を観察することができる。本発表の手法では、これらの力学系の背後にあるリズムの相互作用を可視化し、ネットワークの因果関係を抽出することが可能である。
現在は主に脳神経の情報伝達や高次機能解析を中心に、てんかん発作やパーキンソン振戦の病理解明・症状診断・発作抑制へのアプローチを模索している。一方でこの手法の汎用性は高く、ビッグデータやIoT時代が加速する中で、人間社会が作り出すネットワークの因果関係も解析できるのではと示唆される。
研究者
氏名 | 専攻 | 研究室 | 役職/学年 |
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小山 和輝 | 複雑系科学専攻 | 非線形物理学講座 | 修士1回生 |
後藤 貴宏 | 複雑系科学専攻 | 非線形物理学講座 | 修士2回生 |
青柳 富誌生 | 複雑系科学専攻 | 非線形物理学講座 | 教授 |