高速モンテカルロ法のリスク解析への応用
Application of a fast Monte Carlo method to risk analysis

概要

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一般にリスク解析の分野では,リスクの要因となる好ましくない事象の生起確率の推定が重要であり,特に近年,極めて稀にしか発生しない事象の微小生起確率の推定に対する需要が大きい。このような問題に通常のモンテカルロ法を適用したのでは,莫大な計算時間を要し,事実上推定が困難となってしまう。そこで,本研究では,確率測度変換法と呼ばれる原理に基づいた高速モンテカルロ法の開発を行なっており,ここではその概要と適用事例を紹介したい。例えば,添付の図は,保険会社が債務不履行に陥る確率の時間変化を推定したもので,縦軸は推定された確率を対数プロットしてある。○印が本提案手法による推定結果,■印が通常のモンテカルロ法での推定結果を示しており,通常のモンテカルロ法では満足する収束が得られないような確率も,本提案手法で精度よく推定できていることがわかる。

 

産業界への展開例・適用分野

微小確率の推定は,重要システムに対する信頼性解析や,リスク解析,あるいは金融工学において需要の高まってきているリスクやローンの証券化などにおいては非常に重要であり,本研究での開発手法が貢献できることが期待できる。また,近年では通信ネットワークのトラフィック解析などの分野においてもデータ欠損の微小な確率の推定への関心が高く,こういった分野への適用も考えられる。

研究者

氏名 専攻 研究室 役職(学年)
田中 泰明 複雑系科学 船越研究室 准教授

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