キラルを考慮したSVMによるリード化合物の探索
Graph Kernels for Compounds Incorporating Chirality

概要

化合物を生物学的な特性に基づいて高精度に分類することは, 創薬に適した化合物を探す過程において重要な役割を果たす.従来のグラフカーネル法は,このような化合物の分類に対してもある程度有効ではあるが,不斉炭素原子を含む化合物が異なる特性を示す場合に適切に区別することができなかった.そこで本研究ではTree-Patternグラフカーネルを拡張することにより,トポロジーが同じでありながら立体配置が異なる化合物どうしを区別できる方法を提案する.我々はEcdysteroidsとCramer's Steroidsの2種類の化合物のデータ集合に対し提案手法をSVMとSVRで実装し,多くの場合で予測精度が改善されることを確認した.

産業界への展開例・適用分野

創薬研究におけるリード化合物の探索では,目的に合致した化合物を無数の化合物群の中から選出する.この過程は,コンビナトリアルケミストリーやハイスループットスクリーニングなどの技術を用いて,効率的に化合物を合成して評価をすることにより可能であるが,膨大な時間やコストを要するという問題がある.本研究で提案するキラルを考慮したグラフカーネル法は, 従来の方法では区別できなかったキラルを含む化合物同士を識別することができるので, より有望なリード化合物の候補を絞り込むことができる.

研究者

氏名 専攻 研究室 役職(学年)
田村 武幸 知能情報学 阿久津研究室 助教

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