波動散乱問題の複素固有振動数の境界積分方程式による数値計算について
A numerical method for calculating complex eigenfrequencies of scattering problems using boundary integral equations

概要

導波路や全空間などの無限領域における波動散乱問題の持つ複素固有値は、物理現象に影響を与え興味の対象となる。例えば、添付の図はエネルギー透過率の変化と複素固有振動数の関連を示す例である。本展示では、境界積分方程式法(BIEM)を用いた複素固有振動数の計算法を紹介する。BIEMは、放射条件を自然に取り扱えるため無限領域中の散乱問題に適している。一方で、BIEMは物理的に意味のない見かけの固有値まで得る虞がある。特に複素固有振動数を求める場合、従来実数の範囲では見かけの固有値が存在しない積分方程式を用いても複素数の見かけの固有値が問題となる。そこで、本展示ではこれらの見かけの固有値を容易に区別できる方法も示す。

産業界への展開例・適用分野

添付の図に示したように、複素固有振動数は(実数における解の)異常透過やストップバンド現象と関連している。そこで、散乱体の形状やトポロジーを最適化し、複素固有振動数の出現位置を制御することで所望の散乱特性を持つ構造物を設計することが考えられる。そのような最適化問題への適用には、計算精度と効率の良い固有値計算手法が不可欠であり、本研究の計算手法は重要な基礎となる。

研究者

氏名 専攻 研究室 役職/学年
三澤 亮太 複雑系科学専攻 計算力学分野 博士3回生
新納 和樹 複雑系科学専攻 計算力学分野 助教
西村 直志 複雑系科学専攻 計算力学分野 教授

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