グレンジャー因果性を用いた迷走神経刺激療法による脳波コネクティビティ変化の解析

概要

てんかん患者の約3割は抗てんかん薬を服用することでは発作を抑制できず、このようなてんかんは難治性てんかんとよばれる。迷走神経刺激療法 (Vagus Nerve Stimulation; VNS) は難治性てんかんの治療法のひとつであり、神経に電気刺激を与えることで発作を抑制している。しかし、その作用機序は未だに解明されていない。てんかん発作は大脳ニューロンの過剰な放電が伝搬することで発生するため、VNS刺激時とVNS停止時の脳波コネクティビティの差異を解析することで、VNSの作用機序解明につながると期待される。本研究では、グレンジャー因果性に基づいてVNS施行患者の脳波コネクティビティを解析し、VNSの作用機序について考察した。

産業界への展開例・適用分野

VNSを3年間施行した患者のうち、てんかん発作抑制効果を十分に得られている患者の割合は50%弱と報告されている。VNSの作用機序が解明されれば、患者に対するVNSの有効性の施行前判断が実現される可能性がある。これにより、VNSが有効でない患者に対する施行が未然に防がれ、VNS施行に係る医療費が軽減されることが期待される。

研究者

氏名 専攻 研究室 役職/学年
内田 剛志 システム科学専攻 ヒューマンシステム論分野 修士1回生
藤原 幸一 システム科学専攻 ヒューマンシステム論分野 助教
井上 貴雄 その他所属 山口大学医学部脳神経外科 講師
丸田 雄一 その他所属 山口大学医学部脳神経外科 助教
加納 学 システム科学専攻 ヒューマンシステム論分野 教授
鈴木 倫保 その他所属 山口大学医学部脳神経外科 教授

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