第5世代移動体通信システムの実現に向けた波形整形技術
New Waveforms for 5G Mobile Communications System
概要
爆発的に増大する無線通信トラヒックを高効率に収容するべく、第5世代移動体通信システム(5G)の研究開発が国際的に推進されている。5Gでは、更なる大容量通信を可能とする次世代携帯電話システムとしてだけではなく、大規模IoTシステムを実現するための大規模端末間通信システムや、ロボットや自動車の自動制御を実現するための超低遅延通信システムなどを統合的に収容するシステムとして開発が進められている。これら多種多様なアプリケーションを限りある周波数資源で収容するためには、これまで以上に周波数利用効率を向上させる新たな技術の開発が急務である。現在主要な無線通信システムで採用されているOFDM方式やSC-FDE方式は大容量通信が可能であるが、帯域外輻射電力が高く、周波数利用効率の点で課題があった。本研究グループでは5Gの実現に向けて、これらの帯域外輻射電力問題を解決する波形整形技術を開発している。本発表ではその研究成果の一部を紹介する。
産業界への展開例・適用分野
本研究グループが提案する波形整形技術は、従来方式の課題である帯域外輻射電力を50 dB以上抑圧でき、近接周波数帯への干渉を大幅に低減できる。これにより、様々な通信システムを効率的かつ柔軟に配置でき、周波数利用効率の向上が実現できる。また、提案波形整形技術は従来の主要な無線通信システムに対して軽微なアップデートで導入でき、スムーズな5Gへの移行が期待できる。以上の特長から、携帯電話システムのみならず、5Gがターゲットとするあらゆる産業界への応用が期待される。なお本研究成果の一部は総務省から受託した「電波資源拡大のための研究開発」によって実施されたものである。
研究者
| 氏名 | 専攻 | 研究室 | 役職/学年 |
|---|---|---|---|
| 栗木 寛斗 | 通信情報システム専攻 | 原田研究室 | 修士1回生 |
| 児玉 洋介 | 通信情報システム専攻 | 原田研究室 | 修士1回生 |
| 水谷 圭一 | 通信情報システム専攻 | 原田研究室 | 助教 |
| 松村 武 | 通信情報システム専攻 | 原田研究室 | 特定准教授 |
| 原田 博司 | 通信情報システム専攻 | 原田研究室 | 教授 |