積雪時における医薬品の最適配送計画

概要

積雪大国日本の物流における深刻な課題は、冬季の交通規制による医薬品の配送遅延です。本研究では、数理最適化技術を用い、最適配送経路の導出を目指している。
従来のトラック配送は積雪による路面状況の影響を強く受ける問題がある。本研究では路面状況の影響を受けないドローンの併用を提案し、ドローンをトラックに搭載する連携配送モデルを構築した。路面状況の影響を強く受けるトラックの弱点と、積載容量が小さいドローンの弱点を相互に補完した。
路面状況の時間変化に対処するため、先行研究から「気象ウィンドウ」のアイデアを活用した。気象ウィンドウとは配送期間を気象条件が一定と見なせる期間毎に分割するアイデアで、各気象ウィンドウ毎に配送経路を導出し、これらを統合することで、配送期間全体の配送経路を導出することができる。先行研究ではこの手法を暴風発生時における配送計画問題に活用しているが、本研究では積雪時に適用する。これにより配送期間中に経路がスタックし、経路が突然消失したりする状況への適用可能性を示す。
提案手法の有効性と実現可能性を、数値実験によって実証した。本研究では一般物資と医薬品の混載を想定し、混合整数計画問題として定式化した。「配送期間内に全医薬品配送を完了すること」を制約条件とし、「配送期間内の一般物資配送件数の最大化」を目的関数とした。また各気象ウィンドウにおいて「各経路の積雪深がその経路のスタック閾値を超えた場合、トラック配送が不可能」という制約条件を定義した。これらの制約条件と目的関数を用いて数値実験を行い、従来手法であるトラック配送と、提案手法であるトラック-ドローン連携配送の性能を比較し、その優位性を検証した。実験結果から、提案手法により全ての医薬品の期間内配送を実現できること、従来手法と比較して一般物資の配送件数が向上することが示され、提案手法の有効性と実現可能性が示された。
 

研究者

氏名 コース 研究室 役職/学年
尾崎 俊哉 数理工学コース 応用数理モデル分野 修士2回生