チャットボットは過去の対話履歴を利用することで、より賢明な応答が可能になります。しかし、全ての情報を記憶しようとすれば、情報は即座に氾濫し、処理が困難になります。対話が長期化するにつれ、細部まで全て保存することは非効率であるばかりか、真に重要な情報の検索を阻害する要因ともなり得ます。これは人間が生涯の食事全てではなく、最近の食事や特別な食事のみを記憶していることと同様です。
そこで本研究では、重要な記憶のみを保持し、その他を忘却するよう設計されたチャットボット「LUFY」を提案します。心理学の知見に基づくLUFYは、ユーザーの発話から「感情の昂り」など6つの要因を用いて各対話の「重要度」を算出し、上位10%のみを記憶します。これにより、感情的に重要な場面や有用なやり取りを保持しつつ、重要度の低い詳細は忘却することが可能になります。
LUFYの長期的な性能を検証するため、異なる忘却戦略を持つ3種類のチャットボットによる2時間のテキスト対話実験を実施しました。その結果、情動的な記憶に焦点を当て、その他の大部分を忘却する本手法が、ユーザー満足度を大幅に向上させることが明らかになりました。

| 氏名 | コース | 研究室 | 役職/学年 |
|---|---|---|---|
| 住田 龍宇一 | 知能情報学コース | 音声メディア研究室 | 博士1回生 |
| 河原 達也 | 知能情報学コース | 音声メディア研究室 | 教授 |
| 井上 昂治 | 知能情報学コース | 音声メディア研究室 | 助教 |