池のほとりで手を叩くと,鯉が集まってくる.そんな経験は無いだろうか.これは,手を叩きながらエサを与えるのを繰り返された鯉が, ある種の学習をし, 手を叩く音が聞こえるとエサがもらえると思い集まってくることで起きている.
この中で鯉が行った学習は,心理学の分野では「古典的条件付け」と呼ばれている.2020 年から始まった学術変革領域研究(A)「分子サイバネティクス」では,化学反応系で人工的に脳を作ることを目指し研究が行われており,そのマイルストーンとして,古典的条件付けができる人工脳の実現が掲げられていた.そして, さらに先のステップとして, このような人工脳を複数つなげ, より高度な機能を持った化学反応系からなる人工脳を構築することを目指していた. そこで本研究では,古典的条件付けができる人工脳のモデルを提案し, それらをネットワーク状に結合した「古典的条件付けネットワーク」を考え,その学習理論の確立を目指す.具体的には,内部の各人工脳が持つ機能を, 条件付けによって切り替えることで,ネットワーク全体の機能を自由に書き換える方法を考える.

本研究で考える条件付け論理素子のネットワークは,分子サイバネティクスのプロジェクトにおいて,化学反応系からなる人工知能のモデルの一つと考えられている.化学反応系からなる人工知能は,その実装サイズが非常に小型であることから,医療,化学分野などへ応用が期待されている.このような化学反応系人工知能の研究は,今後ますます加速することが期待され,その学習理論に関する研究の必要性も大きく増していく.そして,この人工知能モデルの学習理論を確立した本研究の成果は,そうした流れの源流になり,様々な化学反応系人工知能研究の基礎理論として,活用されることが期待できる.
| 氏名 | コース | 研究室 | 役職/学年 |
|---|---|---|---|
| 常盤知希 | システム科学コース | 機械システム制御分野 | 修士2回生 |
| 東俊一 | システム科学コース | 機械システム制御分野 | 教授 |
| 坂野幾海 | システム科学コース | 機械システム制御分野 | 助教 |