研究集会には、国や分野を超えた交流による価値創造の場としての機能が期待される。この機能に効果的な集会を企画するには交流が拡大する過程の理解が必要であるが、実際の学術集会で参加者の行動を記録して交流を調査することは困難である。本研究では、2024年8月に京都市で開催された国際昆虫学会議において、参加者の交流を促進する目的で新規に発案・開発したスマートフォン用Webアプリを供用し、その活動記録を解析した。このアプリにおいて参加者は互いの名札や画面上のQRコードを読み取ってプロフィールを交換し、自分の交流履歴として保存できる。アプリ上で記録されたプロフィール交換は7512回にのぼり、これらを約4000人規模の大会における対面の交流記録として解析した。参加者の所属国や研究分野などの属性情報を統合することによって各分野や国のネットワーク上での位置関係が可視化され、ランダムな交流から予測される期待値と比べて交流が不足しているミッシングリンクの存在も明らかになった。これらの結果を含め交流のネットワークに関する多角的な解析から、参加者の交流の実態について議論する。
氏名 | コース | 研究室 | 役職/学年 |
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矢部清隆 | プラットフォーム学卓越大学院プログラム | 昆虫生態学研究室 | 博士1回生 |
高田守 | その他の専攻・大学 | 昆虫生態学研究室 | 助教 |
松浦健二 | その他の専攻・大学 | 昆虫生態学研究室 | 教授 |