本研究では、プロセス産業において重要な役割を担う物理モデルの構築を効率化するために、文献情報から物理モデルを自動で構築する人工知能の実現を目指している。基盤技術の開発に取り組んでいるが、本発表では核となる3つの基盤技術を紹介する。
1) 文献からの物理モデル関連情報抽出:製造プロセス関連の文献から、変数や数式などの情報を正確に抽出するために、BERTモデルを用いた情報抽出手法を開発した。
2) 情報の同義性判定:異なる論文から抽出した変数や数式は意味が同じでも表記が異なる場合があるため、表記を統一するために意味が同じかどうか(同義性)を確認する必要がある。変数については言語モデルに基づく方法、数式については計算機代数システムに基づく判定方法を開発した。
3) 物理モデル自動構築アルゴリズム:複数の文献から抽出して表記を統一した数式を組み合わせて物理モデルを自動で構築するアルゴリズムを開発した。
化学・鉄鋼・半導体などのプロセス産業において、様々な外乱や異常を想定し、真に生産現場で活用できるモデル(デジタルツイン)を構築するには、統計モデルではなく、科学原理に基づく物理モデルが欠かせない。しかし、物理モデルの構築には大変な手間がかかる。物理モデル自動構築AIを開発することで、現場での問題に対処するための適切なモデルを迅速に構築可能となる。さらに、各種基盤技術は産業プロセスにおける文献情報の活用を加速させることが期待できる。
氏名 | コース | 研究室 | 役職/学年 |
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加藤 祥太 | システム科学コース | ヒューマンシステム論分野 | 助教 |
永山 航太郎 | システム科学コース | ヒューマンシステム論分野 | その他学生 |
加納 学 | システム科学コース | ヒューマンシステム論分野 | 教授 |