有力な感染症数理モデルの一つであるSEIRモデルを取り上げ,感染症の沈静化を目的とした最適制御を適用する.最適制御入力は,力学系理論に基づき,あるハミルトン系の不変多様体の安定多様体の計算により求めた.コンピュータソフトウェアAUTOによる数値計算例を示し,本手法の有効性を確認する.本研究の結果から,社会的・経済的負担を小さくしながら,事態が深刻化する前に感染者数を減少させる方法が示唆された.
応用例としては,実際の感染者数などの統計データと本研究におけるモデルの計算結果を比較することで,様々な国・地域における感染症対策を評価することができる.このような感染症対策の評価は,感染拡大状況に各地域の経済が影響されるようなパンデミック的状況において,その地域の経済状況を予測するための示唆を与えうる.国や地域をまたいで活動する企業にとって,このような情報は経営・戦略決定において有用になりうると考えられる.
氏名 | コース | 研究室 | 役職/学年 |
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竹口 佳輝 | 数理工学コース | 力学系数理分野 | 博士1回生 |
矢ヶ崎 一幸 | 数理工学コース | 力学系数理分野 | 教授 |