流体を加熱すると,高温部分が浮力によって持ち上げられ,流体全体に循環する流れが生じる.この現象は熱対流と呼ばれ,身近なところでは底面が加熱された鍋の中の味噌汁などにも見られる.一般にマイクロ系では熱対流が起こりにくいが,レーザーによる局所加熱を用いることで,マイクロ系においても熱対流を起こすことができる.このマイクロ系における熱対流は物質輸送などへの応用が期待されている.このような応用のため,本研究では,レーザーが熱的に駆動する流れを記述できる簡潔なモデルとその解析方法の構築を目的としている.具体的には,レーザーによってマイクロ流路内の流体または流路壁の表面が加熱される場合について,モデルを半解析的手法および数値シミュレーションの2つのアプローチで調べた.
レーザーが熱的に駆動するマイクロ流れを解析することで,流れの制御に向けた基礎的な理解が得られる.微小空間での流れの制御により,流体中に分散したナノ・マイクロ粒子の動きの制御も可能となる.また,このような光学的手法を用いることで,例えば,細胞や生体分子の運動に対する非侵襲的な制御手法の開発につながる.
氏名 | コース | 研究室 | 役職/学年 |
---|---|---|---|
齊藤駿 | 先端数理科学コース | 応用数理科学分野 | 修士2回生 |
辻徹郎 | 先端数理科学コース | 応用数理科学分野 | 准教授 |
田口智清 | 先端数理科学コース | 応用数理科学分野 | 教授 |