生まれてくる採卵鶏の雛は,その半分が雄である.雄雛は成長しても卵を産むことができず,また鶏肉の生産用に開発された品種に比べ,出荷に適したサイズに成長するまでにより長い時間とエネルギーを必要とする.これらのことにより,世界中で年間70億羽の雄雛が殺処分されており,特に欧州ではアニマルウェルフェア(動物福祉)の観点から問題視され,加えて雄雛の孵化に利用したエネルギーも無駄になる.
当研究室では上記の課題解決のため,鶏卵の非破壊雌雄判別技術の研究開発に従事してきた.これまでに緑色の波長域の光で孵卵3日目に雌雄間で透過率に有意差があることを発見し,血液は緑色の光を吸収するため,この有意差は血管形成と血液生成のスピードの差によるものではないかと仮説を立てた.生体内の血管をイメージングする手法の1つがレーザー光を用いた方法である.レーザー光を用いることで血管の形状をイメージングできるのみならず,血管中を流れる血液の流速などの情報も得ることができることから本研究での活用を考えた.本発表では撮像条件の最適化を目標として行った実験の結果,ならびに将来展望を紹介する.
鶏卵の孵卵工場への導入を考えており,孵卵初期での雛の雌雄判別を行う.その結果として雄雛の殺処分問題の解決,ならびに工場の運営コスト削減・エネルギーの節約を図る.
氏名 | コース | 研究室 | 役職/学年 |
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田村洋樹 | プラットフォーム学卓越大学院プログラム | 生物センシング工学 | 博士1回生 |
知原麻歩 | その他の専攻・大学 | 生物センシング工学 | 修士2回生 |
白神慧一郎 | その他の専攻・大学 | 生物センシング工学 | 助教 |
近藤直 | その他の専攻・大学 | 生物センシング工学 | 教授 |
小川雄一 | その他の専攻・大学 | 生物センシング工学 | 准教授 |