現在日本では、安全安心のための公共業務用無線通信システム(PBBシステム)がVHF帯に割り当てられている。VHF帯は波長が長く広い通信エリアを確保できる可能性があることから、公共業務だけでなく一般業務でも利活用を求める声が高まっており、現在PBBシステムの割当帯域に隣接するV-High帯域と呼ばれる未利用周波数帯域の利活用が検討されている。この周波数帯は多くのチャネルが確保できるとはいえず、限りある周波数帯域に多くのシステムを割り当てるためには周波数共用の積極的な利用が必要となる。周波数共用を実現するためには各システムの電波保護領域を適切に算出し、異システム間での干渉回避が重要である。しかし従来の電波保護領域算出モデルでは、過剰に保護領域設定する問題や、逆に未保護領域が発生する問題があった。本発表では、既提案の場所利得を導入した電波保護領域算出モデルにおいて、場所利得推定のための未定係数決定に重回帰分析を用いる手法を新たに提案し、従来モデルよりさらに高効率な電波保護領域推定を実現する手法に関する研究開発成果を紹介する。
本研究成果により、VHF帯においても高効率な周波数共用システムを実現し、限られた周波数帯域において多数の無線システムを収容することができ、今後VHF帯の広域通信特性を活かしたさまざまなアプリケーションが新規創出されることが期待できる。本研究成果の一部は総務省SCOPEの委託研究(JP196000002)の一環として実施したものである。
氏名 | 専攻 | 研究室 | 役職/学年 |
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皆木 渓夏 | 通信情報システム専攻 | 原田研究室 | 修士1回生 |
水谷 圭一 | 通信情報システム専攻 | 原田研究室 | 准教授 |
原田 博司 | 通信情報システム専攻 | 原田研究室 | 教授 |