次世代シーケンス技術やCRISPRを筆頭とする遺伝子改変技術は近年目覚ましい発展を遂げている。このような技術発展のおかげで、従来ではマウスやショウジョウバエといったモデル生物でしか利用できなかった手法が、非モデル生物にも適用できるようになりつつある。しかし非モデル生物での遺伝子改変操作には多くの課題が残っている。本研究では、小型の非モデル魚類であるカクレクマノミを対象にして遺伝子改変操作に必要な諸技術の基盤構築を行った。受精卵に遺伝子改変試薬を直接注入するマイクロインジェクション技術、卵培養・孵化法、蛍光タンパクの利用、黒色素胞のCRISPR-KOを行った。これらの技術は多くの非モデル魚類の遺伝子改変にも応用可能なプラットフォームを提供できる。
畜産分野では品種改良が進み、ウシやブタは飼育しやすく、食味のよい品種に改良され、野生種の形質とは大きく異なっている。しかし水産分野では未だほとんど野生種と大差ない魚を飼育しなければならず、大きなコストが必要となる。そのため養殖魚の品種改良の高速化は重要な課題であった。近年のゲノム編集技術は非モデル生物である養殖魚にも適用可能で、有用品種の作出に大きく期待が持てる。本研究で得られた成果は水産養殖魚の高速品種改良に貢献できる。
| 氏名 | 専攻 | 研究室 | 役職/学年 |
|---|---|---|---|
| 山中朔人 | プラットフォーム学卓越大学院プログラム: プラットフォーム学卓越大学院プログラム | 海洋生物機能学 | 博士1回生 |
| 木下政人 | その他の専攻・大学 | 海洋生物機能学 | 准教授 |