地理情報空間システムを用いたエージェントベースの災害時対応プラットフォームの構築
Building an Agent-Based Disaster Response Platform Using Geospatial Systems

概要

昨今、気候変動の影響を受け、水害の被害激甚化が懸念されている。災害規模の増大により、災害対応の役割や当事者間の関係もより複雑になると考えられる。従来より、災害対応は時間が経つごとに、その関わりをもつ当事者が変化し、作業内容も変動しているとみなされている。そうした異なる目的意識を持つグループが介在する災害対応現場において、災害状況全体を俯瞰し状況認識を統一した上で、足並みを揃えた行動をとっていく必要がある。しかし、災害は非日常なイベントであり、その対策を検討することは容易ではない.そこで、デジタル地理空間上での災害対応シミュレーションを可能とするデジタルツインプラットフォームを提案する。このシミュレーションは、時間的に連続して変化する災害対応活動を再現し、俯瞰した視点で災害発生後からの災害対応全体の状況を把握できるようにするものである。これまで個々の災害対応フェーズに注目した研究や対策が検討されてきたが、今後はより長期的な視点で災害対応の分析すべきという視点で、異なる問題意識を持つ専門家や行政、住民が、同じ視点で災害対応を議論できる場を提供する。また、これまで蓄積されてきた研究の評価や、さらなる問題発掘に向けたプラットフォーム利活用も提案する。

産業界への展開例・適用分野

災害対応に関わる行政や民間企業の知識・技術とコラボレーションを可能にしていく.
- 行政にとって、住民の生命・財産を守るための避難情報発信や救助戦略立案を、その街に住む住民の特性に合わせて検討できるようにする
- 消防隊・自衛隊にとって、救助を待つ住民への救助戦略立案を支援する基盤を提供する
- インフラ企業にとって、救助や復旧の優先度を評価する上で重要な視点を提供する
- 解析技術をもつ企業にとって、機械学習等で得られた知見・データが災害対応実務でどのように役立つのか検討するシミュレーターを提供する

研究者

氏名 専攻 研究室 役職/学年
松木彰 社会情報学専攻 災害情報システム領域 博士2回生
畑山満則 社会情報学専攻 災害情報システム領域 教授