物質内の熱伝播の様子を調べるためのアプローチとして、物質をグラフで近似し、そのグラフ上のランダムウォークを解析するという手法がある。近年発展の著しいランダムグラフ上のランダムウォークの研究は、複雑な物質内の熱伝播を理解する試みのひとつであるといえる。
本研究ではランダムグラフとして三次元一様全域木(スパニングツリー)を考察し、その上を走るランダムウォークの挙動を反映する熱核という量の解析を行った。その結果、熱核が大きく振動しているという事実を証明し、三次元一様全域木のある種の構造不安定性を示すことができた。熱核の振動は数少ないランダムグラフに対してのみ示されている現象であるが、ランダムグラフのどのような性質によって引き起こされているのかを詳しく説明したい。
複雑な媒質上の拡散現象、ランダムグラフ上のランダムウォーク
氏名 | 専攻 | 研究室 | 役職/学年 |
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渡辺 聡美 | 先端数理科学専攻 | 応用解析学講座 | 博士2回生 |
白石 大典 | 先端数理科学専攻 | 応用解析学講座 | 准教授 |