オンライン議論における意見のリンク推定
Link Detection for Online Discussion

概要

近年, Web上でのオンライン議論が注目を集めている. 時間や空間的な制限を受けずに参加できるオンライン議論は, 従来の対面で行う議論に比べて遙かに多くの人を集めることが出来る. 実際TwitterなどのSNS上で議論が展開された際には, 現実での繋がりに関連しない多種多様な人々が議論に参加している様子が窺える. そのため, オンライン議論は政治や環境問題など多くの人々が共通して抱える課題について議論し合う場となり得るものであり, このようなWeb上で形成される大規模な議論を活用して意見収集や合意形成を行っていく試みに期待が高まっている. こうした中で, 意見収集や合意形成を効率よく行えるWeb上の議論プラットフォームについて多くの研究がなされてきた. その例の1つとして,オンラインAI議論システムD-Agreeがある(以下, D-Agreeと呼ぶ). D-Agreeは, Web上での大規模議論が合意形成に向かうように, 自動ファシリテーションエージェントと呼ばれる議論における司会進行の役割を担うエージェントを採用した議論プラットフォームである. 自動ファシリテーションエージェントは投稿された意見に対して自然言語処理に基づいた分析をリアルタイムで行うことで, 議論が適切なプロセスで進行されることを支援する. Web上における大規模なオンライン議論において, 自動ファシリテーションエージェントを実現するには, リアルタイムでの議論構造の抽出を行う必要がある. そして, 議論構造の抽出はノード分類とリンク推定の2つのタスクに分割される. リンク推定とは, 意見の接続関係を推測するタスクである. 議論の構造抽出におけるリンク推定は, ある意見が既にある意見のどれに対して向けられたものかを予測することであり, 各意見に対してそれぞれ1つの親の意見を決めることになる. リンク推定によって接続関係が求まれば, 議論をグラフへと変換し, グラフ構造を見て議論の流れを分析することができる. 本研究ではこのリンク推定を, 投稿毎ではなく文単位で実現することを目指した.

産業界への展開例・適用分野

議論の分析、評価に貢献し、協同学習などの分野への応用が考えられる。

研究者

氏名 専攻 研究室 役職/学年
天田 雄大 社会情報学専攻 合意情報学ゼミ 伊藤孝行研究室 修士1回生