我が国は、南海トラフによる津波発生による長期浸水、及び地球温暖化による洪水・氾濫被害の激甚化が懸念されている。自然災害の多い我が国であって、地震や火災などの地上での救助戦略の立案モデルは長く研究されてきたが、特に浸水域における救助戦略については、浸水域での活動を考慮した精密なモデルは考案されていない。高知県など南海トラフによる津波の影響が危惧される自治体において、長期浸水への対策案が考慮されるも、その実行可能性や正確さを検証するツールとしての救助モデルも不十分であると考える。そこで、GISを活用したマルチエージェントモデルと、浸水域での浸水深さによる救助活動への制約を考慮した、時々刻々と変化する活動環境で救助活動モデルの開発を試みる。また、昨今住民への避難情報の発信や、災害情報の意味・価値を見直す動きが活発である。特に水害に対する住民の意思決定にはバイアスがかかりやすく、また意思決定しないことを意思決定したという、人間の不確実な意思構造を変化させ、避難への態度変容のため情報を作り出す手法についても言及する。
氏名 | 専攻 | 研究室 | 役職/学年 |
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松木 彰 | 社会情報学専攻 | 防災研究所 災害情報システム研究室 | 博士1回生 |