マイクロスケールの流れや低圧気体の流れを調べる際には,多数の分子の集団的振舞いを定式化したボルツマン方程式がよく用いられる.ボルツマン方程式は位相空間内の質量密度の時間発展を記述する方程式で,その導出過程における衝突数の算出には,衝突前の2つの気体分子の速度に相関がないとする「分子無秩序の仮定」が用いられる.この分子無秩序の仮定の妥当性を,ニュートンの運動方程式に基づいた気体分子個々の運動の直接シミュレーションから検証できるかを探ることは,分子気体力学の基礎方程式を裏付ける点で重要であり,また,様々な実用研究で現れる数理モデルの粗視化過程の理解の助けとなると考えられる.本研究では,2次元矩形領域内に存在する分子を模した剛体円板群に対して,円板同士および円板と壁の衝突を考慮したイベント駆動型の分子動力学シミュレーションを行い,分子無秩序の仮定の検証を試みた.
マイクロスケールの流れ,マイクロデバイス,シミュレーション科学,数理モデル
氏名 | 専攻 | 研究室 | 役職/学年 |
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清瀬遼 | 先端数理科学専攻 | 応用数理科学分野研究室 | その他学生 |
田口智清 | 先端数理科学専攻 | 応用数理科学分野研究室 | 教授 |
辻徹郎 | 先端数理科学専攻 | 応用数理科学分野研究室 | 准教授 |