近年のプロセッサのマルチコア化に伴い、大規模な探索問題の並列化は高速化のために必要不可欠になっていますが、グラフマイニングや不規則なデータ構造を対象にした数値計算などの効率良い並列探索の実現は容易ではありません。本研究室では、このような計算を効率的に並列化できるようにするため、一時的バックトラックに基づくワークスティールという独自の技法を採用したタスク並列言語Tascellの開発を行っています。本発表ではTascellについて、プログラムの記述方法・ノード間通信の実装など言語自体の改善や、密行列の近似圧縮表現である「階層型行列」の生成への応用など近年の取り組みを中心に紹介します。
本発表で紹介する並列言語は、分割統治型計算の並列化に特に効果を発揮し、幅広い応用が考えられます。たとえば、本発表でも取り上げる階層型行列は、多体問題や地震シミュレーションなどの物理計算で用いられており、その計算の高速化は非常に有益です。また、バックトラック探索アルゴリズムにも非常に有効であり、ソーシャルネットワークや生体ネットワークの分析などのためのグラマイニング、制約充足問題、ゲーム木探索などの並列化にも応用可能であると考えられます。
氏名 | 専攻 | 研究室 | 役職/学年 |
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平石 拓 | 学術情報メディアセンター | 中島研究室 | 助教 |
白 正陽 | システム科学専攻 | 中島研究室 | 博士2回生 |
蔡 皇誠 | システム科学専攻 | 中島研究室 | 修士2回生 |