リーマン多様体上の最適化手法による新しい特異値分解
A Riemannian optimization approach to the singular value decomposition

概要

(一般には縦長の)直交行列全体からなる多様体をシューティーフェル多様体という。行列の特異値分解は、2つのシューティーフェル多様体の積からなる多様体上の最適化問題に帰着される。本展示では、この問題の解法をリーマン多様体上の最適化手法の一般論とともに紹介し、新しい観点からの特異値分解手法を与える。本手法は、通常の特異値分解手法と異なり前処理が不要であり、また、他の手法(たとえばMATLABのsvd関数)で得られた特異値分解の近似解を初期点として、より精度の高い解を得ることもできる。

産業界への展開例・適用分野

特異値分解は画像処理や信号処理など幅広い分野で用いられ、固有値問題とともに、様々な計算の基盤となるものである。一方、本展示で扱う、いわゆる「リーマン多様体上の最適化問題」に帰着される問題はこれら以外にも多数あり、主成分分析や独立成分分析もその一例である。このように、多くの応用例を内包する一連の研究の中の、一つの成果としての「多様体上の最適化による特異値分解」を本展示では紹介する。

研究者

氏名 専攻 研究室 役職/学年
佐藤 寛之 数理工学専攻 力学系理論分野 博士2回生
岩井 敏洋 数理工学専攻 力学系理論分野 教授

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