時間反転対称性を持つ力学系における時間の一方向性の証明
Proof of unidirectional time evolution in dynamical systems with time reversal symmetry

概要

古典ハミルトン系は時間反転対称性を持ち, ある運動が実現する場合, 逆向きの運動も生じる. 一方で, コーヒーにミルクを入れると, 最初は2つの層が分離した状態だが, 時間を経ると混ざり合い, 元の分離した状態に戻ることはない. このように時間反転対称性を持ち時間を逆向きにした運動が成り立つにも関わらず, 時間の一方向性も観測される. 発表者は, あるハミルトニアンから時間反転対称性を保存するような離散化を行い, シンプレクティック写像を構成した. さらに, 摂動パラメータがある範囲にあるとき, 写像がアノソフ性を持つことで, 密度関数の収束という時間の一方向性が生じることを証明した.

産業界への展開例・適用分野

密度関数の収束にはカオス理論が適用されている.カオス現象はカオス写像による乱数生成やリザバーコンピューティングのような機械学習技術やモンテカルロ計算にも関係する.

研究者

氏名 専攻 研究室 役職/学年
大久保 健一 数理工学専攻 梅野研究室 博士3回生

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