インドネシアの時間は日本よりゆっくり進むー相対性理論に基づくアセアン標準時へー
Proposal of ASEAN Standard Time Based on Einstein's Relativity Theory

概要

ルビジウム(Rb)原子時計等の安価な原子時計を多数用意することで高精度な標準時を作る原子時計のビッグデータの標準時構成法を提案する。背景としては以下の通りである。アインシュタインの相対性理論によれば、静止している時計と比べて速度vで動いている時計は、ゆっくりと時間が進むことが解る。これは、地球上に原子時計を置く場合にも当てはまり、緯度が高い日本よりも、赤道付近のインドネシアの方がゆっくりと時間が進むことが解る。現在の標準時は、世界各国からの原子時計のデータを基に基準を決めているが、例えば、赤道近くのASEAN各国で標準時を制定しようという時、日本や中国といった高緯度にある原子時計で基準を決めるのではなく、低緯度のASEAN各国に原子時計を置いて加重平均して標準時を決める方が物理的に正確であることを意味する。これが、我々の提案するASEAN標準時の基本的な考え方となる。

産業界への展開例・適用分野

原子時計が誰でも持て安価になった場合、その原子時計の位置(緯度)が重要となる。空間を考慮した新しい、既存の方法と比較してもより正確な国際標準時制定につながり、時間と無縁でいられない現代社会にとって、その波及効果は計り知れない。一番の応用例は高精度高速タイムスタンピングであり、より具体的には証券市場の1μsecの取引証明を行うシステムの構築である。これは特に近年、High Frequency Tradingとしてコンピュータを用いる取引が盛んになっているにも関わらず、その取引証明が厳密に行われていないという抜本的な課題の解決ー市場の公正性の確保ーにつながる。筆頭発表者が発明した偽造不可能なタイムスタンピングを可能とする特許5252539号(NICT)を用いることで、インターネットでつながる世界各国の標準時を基礎とした各国証券市場の取引証明の基礎となる標準時刻データとして利用可能である。

研究者

氏名 専攻 研究室 役職/学年
梅野 健 数理工学専攻 物理統計学分野 教授
中澤 勇夫 数理工学専攻 物理統計学分野 博士2回生
亀山 慎吾 数理工学専攻 物理統計学分野 修士2回生
五十嵐 喜良 数理工学専攻 物理統計学分野 研究員

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